雨のち
泥んこ道を歩く
島ぞうりのまま行くか悩んだけど、やっぱり長靴履いてきて良かったなぁ 。と、ほっとしたり。
今日も 1日中 雨かぁ。と、うなだれてみたり。
響き渡る雨音より やかましいのは内の声
雨音が加速する
土と緑と水が融合する
煩悩が加速する
ああ やっぱり
かっぱ着てきて良かったなぁ
でも重てぇなぁ でも
これ かっぱ着てなかったらパンツまでぐちょぐちょで最悪だったはずよぉ…とか
ああ そういえば昔々 鳶やってた時、雨の中 ボルト本締めしてる最中 感電してしまむらの天井から落ちそうになったりしたっけなぁ。とか
高いところが好きだったのと まぁ日銭が良かったっでだけでやってた鳶職、腰掛けの僕を夜な夜な連れ回してくれた大先輩方は本当は僕に何を伝えたかったんだろう…。1番優しかった身体中落書きだらけの斉藤さんは なんだかよく分からないけど いきなりパトカーに連れていかれたし、いつも笑ってた清水さんは無断欠勤じゃなくて成仏してた。
真夜中 足場鳶の魂のラチェットを握り締めて果たし合いの末 敗北して出て行ってしまった浜口さんは若い時音楽をやっていたらしい。スナックに連れて行って貰うたびに、若い時に作詞家の大先生に褒められたって話を何十万回も聞かされた。
「俺に気を使わないで好きな歌をうたえよ!」
「絶対 諦めないで 歌い続けろよ!」
嗚呼 、ありがとうございました… … m(_ _)m
思い出した!
雨音が加速する
土と緑と水と俺が融合する
かっぱのフードを被ると息づかいが聞こえたんだ
もちろん俺のだ 俺の息だけ。
でもね、その後すぐ 空を見上げたらね
止まり木のカラスが濡れながら俺を見て
「カァー」と鳴いたのです。
それだけの事なんだけどね。
それがさ。
「みんないっしょじゃねーか」
と、聞こえたんだ。
んー説明出来ないけど
一瞬 身体が震えたんだ 本当に。
そんでもって
鼻歌と歩き出す雨の日♪
忘れぬよう書き留める